実家から出て一人暮らしを始める際、気になることの一つと言えば住所変更ですよね。
実際のところ、住民票の移動手続きが面倒で住民票を実家のままで一人暮らしをしている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、一人暮らしをする際、住民票は実家のままでいいのか、そのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
一人暮らしの住民票は実家のままでいい？
まずは引越しをしたときに住民票を移す必要があるのかどうかですが、基本的には住民票を移すことは法律で義務化されており、住民基本台帳法には以下のような記載があります。
転居をした日から14日以内に住民票の届け出を行わなければならない
正当な理由なく住民票の届け出をしない場合、5万円以下の過料に処す
つまり、正当な理由なく住民票を移動させないことは法律違反で、過料を徴収される可能性があります。ですが逆に正当な理由があれば住民票の移動はしなくてもいいようです。
では「正当な理由」とはどのようなものなのでしょうか。
住民票を実家のままにしてもいいケースとは
住民票の異動は義務ですが、以下のような正当な理由があれば任意で異動をさせなくても良いとされています。
- 新しい住所に住むのが一時的な場合（おおよそ一年以内に元の住所に戻る見込み）
- 定期的に実家に帰るなど、生活の拠点は異動しない場合
つまり、短期間の単身赴任や高校・大学などへの進学によって引越しした人が該当します。
赴任期間が終われば元の住所に戻る見込みがあったり、学生の場合は週末は実家に帰るなど「生活の拠点が元の住所のまま」であれば住民票の移動義務は例外的に免除されます。
住民票を移さないメリット・デメリットとは
では住民票を移さない場合のメリット・デメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリットはほとんどない
住民票を実家のままでの一人暮らしには、正直なところあまりメリットはありません。
あえてメリットを挙げるとなると、めんどうな住民票の移動手続きを行わなくてよいことと、大学生などの未成年の場合は地元の成人式に参加するための手続きが不要になるという点くらいです。
成人式の参加案内のお知らせは、その地域に住民登録のある新成人に送られるため、住民票を異動させている場合、地元の成人式に参加するためには事前に手続きをする必要が出てきます。
気になるデメリットとは
上記のように、住民票を異動させないメリットはあまりありませんが、デメリットは以下のようなものがあります。
- 引越し先で選挙に参加できない
- 公的な案内が届かない
- 運転免許の更新ができない
- 本人確認郵便が一部受け取れない
それぞれ解説します。
引越し先で選挙に参加できない
選挙権は住民票に記載されている住所が適用されるため、引越し先の地域で選挙があったとしても住民票を異動させていなければ参加することはできません。
国会議員選挙などの全国一斉で行われる選挙の場合、住民票を実家のままで一人暮らししている人は、実家のある地域で選挙に参加する必要があります。
公的な案内が届かない
メリットで説明した成人式の案内や、上記の選挙に参加するためのハガキなどの重要な郵便物は住民票に記載された住所に送付されます。
そのため住民票を移していないと、公的な案内や文書が届かず、いちいち実家にかえって確認するか、送ってもらわなければならなくなります。
運転免許の更新ができない
運転免許証は取得試験を受ける時はもちろんですが、免許更新の際も住民票に記載されている地域でしか手続きができない点には注意が必要です。
そのため住民票を移していない場合は、免許を更新するために旧住所の運転免許センターへ行かなければならないので、さらに時間と手間がかかってしまいます。
本人確認郵便が一部受け取れない
郵便物の中には、受け取る際に本人確認を求められるものも存在します。この時、本人確認書類として提示する免許証やパスポート、マイナンバーなどの公的書類全般が住民票を移していないと旧住所のままになっているので、本人確認書類として使えない場合があります。
まとめ
引越しをすると住所の変更手続きとして住民票の移動を行いますが、中には面倒で手続きをしないままになっている人もいるのではないでしょうか。
住民票の異動は、法律（住民基本台帳法）によって義務化されているため、一部の例外を除いて行わなければなりません。
また住民票を移さないメリットはほとんどなく、むしろデメリットばかりなので、もし住民票を実家のままにして一人暮らしをしている人がいたら早めに異動の手続きを行いましょう。