昨今地方移住を検討する人が増えてきているのではないでしょうか?芸能人や著名人の田舎暮らしに憧れを抱き、都会の喧騒から距離を置きたいと思う方が多いと思います。しかし、昨年ごろ田舎での移住について取り上げられたニュースに大きな注目が集まりました。
該当ニュース:https://yutura.net/news/archives/91852
今回は本事件の真相について深く探ることはしませんが、田舎での移住では必ずしも輝かしいものとも限らないことが明らかになってきています。「村八分」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。古い慣習が今でも田舎に残っている場合があります。今回は「村八分」が多い県はどこか紹介していきたいと思います。
村八分が多い県はどこ?
法務省が公開している「法務局及び地方法務局管内別 人権侵犯事件の受理及び処理件数」を参照し、村八分の多い県はどこかを見てみると以下の通りになりました。なお、今回は移住ブームが起き始めた2011年~2024年4月までを集計範囲としました。
- 岐阜県 18件
- 愛知県 16件
- 長野県 14件
- 高知県、新潟県 12件
- 広島県、静岡県 10件
こうしてみると東海、中部、中国四国地方に多いことが見受けられると思います。ただし、コロナ禍周辺の2019年、2020年以降からは村八分の処理件数自体は減少しています。
村八分とは?
そもそも「村八分」とはどのようなものを指すのでしょうか。一般的には村にする住民が総出になって、特定の人物との交際を一切しない私刑のことを指します。簡単に言ってしまえば、集落単位での「いじめ」に近いでしょうか。ですが近年では交際を断つだけでなく、悪質な嫌がらせが起きていることも事実です。代表的なものとしては、自治会に入れない、悪質な嫌がらせを地元住民から受ける等です。
実際に起きた事例
では村八分とは具体的にどのようなことをされるのか。実際に起きた事例を紹介します。
大分県:Uターン移住者への断交
きっかけは農家への交付金がトラブルの原因だったそうです。元公務員の男性はその集落にUターンで移住しましたが、地元住民は当人とのかかわりを一切断つことを決めました。これを自治会で「全員一致」で決定したというのだから驚きです。その後市の連絡や広報誌が男性の元へ届かなくなったといいます。最終的には裁判にまで発展し、地元住民側が慰謝料の支払いをするまでに至っています。
奈良県:強い力をもつ「氏子」たち
こちらは弁護士会が是正勧告を出した例です。この地域に移り住んできた夫妻は当初、自治会費を納めていたにも関わらず、自治会の加入を認められず、集会に参加できなかったり、広報誌がとどかなかったりといった孤立状態に置かれました。是正勧告を出した弁護士会側に対して、地元自治会は昔から地域に住んでいる氏子しか認めていない、夫妻だけを差別しているわけではないと主張しているそうです。
山梨県:ゴミも出すことができない環境
東京から山梨に移住してきた夫婦は当初、土地の豊かさに満足していました。しかし住み始めてしばらく経ったとき、地元集落の人に集落の組に入っていないとゴミは出せない、そして組に入れることを認めないと告げられたのだそうです。さらに、夫妻の子どもが通う保育園の保護者会でも、質問を投げかけたことで、厄介者扱いを受けるようになってしまったとのこと。その後生活の全てを根掘り葉掘り追及されるようにもなってしまった夫妻は、その集落を離れることになってしまいました。
まとめ
今回は「移住」というテーマで、村八分の多い地方・県と実際にあった事例を紹介してみました。単純な件数だけでいえば東海、中部、中国四国地方に多く見られますが、悪質な村八分はどの県でも起こりえると想像できます。ただ、村八分の件数自体は減ってきています。今後移住を計画されている人はぜひ参考にしてください。